期待値の高い賭けのほうが
お金が減る?

 答えを出す前に、もう一度寄り道を許してもらう。仮に、次のようなコンディションの賭けを考えてみてほしい。

「丁」が3回続けて出れば賭け金は8倍になり、勝った額の10%を控除して胴元に支払う。それ以外は賭け金(1000円)は没収する。

「丁」が3回続けて出るのは8分の1の確率なので、確率的にはフェアな賭けであろう。1000円の賭け金に対し、当たれば7000円が支払われ(賭け金と合わせて8倍になる)、その7000円の10%(700円)が天引きされる。つまり、手元には7300円(=1000円+[7000円×0.9])が残る。

 ここまでの議論において、この1000円が7300円になる8分の1の確率の賭けの期待値は、「95%にならない」ことに気がついた人はいるだろうか。

 8分の1の確率の賭けを8回おこなうには、8000円が必要である。8回のうち平均して1回当たり、手元に残る金額が7300円なら、期待値は91.25%(=7300円÷8000円)にしかならない。つまり、五分五分の賭けで、勝ったときに勝った分の10%を天引きされる賭けと、もっと倍率の高い賭けとでは、期待値は同じにならないのである。

 勝つ(数学的)確率にしたがって釣り合うように倍率が定められ、そして勝った金額のうち10%を天引きして支払う賭けの期待値は、倍率が低くなるほど上がる。逆に、倍率がどんどん高くなると期待値は90%に収束していく。

 たとえば1000分の1しか勝てないけれど、勝てば1000倍になるが勝った分の10%を引かれる賭けの期待値は、90.01%となる。図表II-1にこの関係を示しておく。

図表II-1 利益の10%を天引きされる賭けの期待値(倍率別)同書より転載 拡大画像表示