あなたは「丁」に賭け続け、3回とも勝ったとしよう。

図表 手元に残る金(=掛け金+[掛け金×0.9])同書より転載 拡大画像表示

 つまり、1000円を元手に「倍々プッシュ」で賭けて3回勝っても、7倍弱にしかならない。五分五分の賭けに、3回続けて勝つ確率は8分の1(=1/2×1/2×1/2)であるから、賭け金は8倍になっていると感覚的には考えてしまうだろう。

 しかし、勝つごとに勝った分の10%のテラ銭(5%の控除率)が天引きされるため、予想額からはどんどん目減りしていくわけである。

 したがって、〈問b〉の解答は、「賭けた金額」のトータルに対しては期待値は95%のままである、ということになる。ところが、ここで賭けた金額のトータルは3回で計6510円(=1000円+1900円+3610円)であるかのように思うかもしれない。これは、勝ち続けたケースではそうである。

 3回続けて勝つのは8回に1回であるから、いま、1000円ずつを3回続けて勝つシミュレーションに必要な8回プレイしたものとして考えてみる。すると、内容はもっと複雑になる。

図表 1回目・2回目・3回目のあとに、手元に残る金額同書より転載 拡大画像表示

 これを見てわかるように、最初の8000円は3回にわたって5%ずつ減っているだけのことなのだ。この3回の賭けを8回おこなえば、賭けられた総額は2万2820円(=8000円+7600円+7220円)で、一時的にせよ、手元に残った総額は2万1679円(=7600円+7220円+6859円)であり、これは期待値95%(=21679÷22820)となる。

 ところが、最初の8000円と終わりの金額だけを(内容を無視して)切り離すと、この「一連の」賭け自体の期待値はわずか85.7375%(=6859円÷8000円×100%)に減ってしまう。つまり、「3回勝つまでやめずにプッシュする」という一連の前提を「1つの賭け」と考えるなら、期待値は95%ではなく85%少々にまで落ちるとも考えうる。

 こちらも、〈問b〉の別の正解である。しかし、なぜこんなことが起こるのだろうか。