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「負けたら次は倍賭けすれば、いつか取り返せる」――。ギャンブルで負けが続いたとき、そんな考えが頭をよぎったことはないだろうか。ところが、この「負けを取り返すための賭け金アップ」こそ、破滅への入り口になりかねない。勝っているときは少額、負けるときは大金を失う人は、なぜ生まれるのか。ギャンブラーの「コマの上げ下げ」と数学的な期待値から、危険な賭け方の正体を探る。※本稿は、社会学者の谷岡一郎『ギャンブルのからくり』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
尊敬するギャンブラーたちの
勝負哲学の共通点
筆者が尊敬するギャンブラーたちはみな、自分なりの「ギャンブルの哲学」と言えるものをもっている。いわば勝負の哲学である。むろん、それぞれの内容は同じとは限らないが、共通点は少なくない。
優れた(と筆者が信じる)ギャンブラーたちが、口を揃えて主張することの代表は、「負けは自分の責任として受け入れる」ことだ。勝ったときにどうするかは、人によってさまざまであろう。しかし、負けたときにこそ、その人が本物のギャンブラーか、それともギャンブラーの皮を被ったエセ・ギャンブラーかがわかるというのである。
次に挙げる行動を見せる人は、まずもってエセ・ギャンブラーと考えてよい。すなわち、負けたときに「くどくどと言い訳をする」「他人のせいにする」「賭け金を増やして取り戻そうとする」といった行動である。
ここに「賭け金を増やして取り戻そうとする」人がエセ・ギャンブラーとして登場するが、この賭け金の増加は、筆者が言うところの「コマの上げ下げ」とはなんの関係もないことは強調しておこう。単に頭に血が上って、無茶を始めたにすぎない。







