スタートは1ユニットを賭けて、外れると倍の2ユニット(20ドル)を賭ける。それも外れると賭け金をさらに倍の4ユニットにする……と、当たるまで賭け金を倍にしていくのである。そのうち当たると仮定するなら、当たった時点で1ユニットだけプラスになっているはずなので、そこでまた1ユニットから始める……、という方法である。
長い時間をかけて10ドルずつ勝ち続け、プラスが蓄積されていく――。マーチンデイル・システムはそんな理屈で「必ず勝つ方法だ」と主張する。これまでどれほど多くの人々が、同じ思考によって「私は必勝法をあみ出した」と考えたことか。残念ながらこのシステムは、うまく機能しない。
なぜか。理由の1つ目は、軍資金が100ユニット分あろうと、6連敗するともう手元に37ユニットしか残っておらず、次の賭け額(64ユニット)が出せなくなることだ。ルーレット・テーブルで2~3時間もプレイし続けたなら、6連敗はおろか9連敗、10連敗などに遭遇することなど、決して珍しくないことは、慣れたギャンブラーなら誰でも知っている事実である。
2つ目の理由として、カジノなどのテーブルには「賭け額の上限」が設けられていることだ。BJのテーブルなどでは、ミニマム・ユニット(最低賭け額)の100倍から200倍程度と考えてよい。仮に軍資金が無尽蔵にあろうと、一定以上は賭けることが許されなくなるのである。
マーチンデイル・システムで賭けるプレイヤーを見つけると、主催者側はほくそ笑む。勝つにしても少額で、負けるときは大きく失う“おいしいお客さん”だからである。加えて、ハイ・ステークス(高い賭け金)のテーブルでは、任意のタイミングでテーブルをクローズすることがたまにある。テーブルのクローズは、主催者側の裁量の範囲だからである。
リズムを変えても
期待値は変わらない
勝ち負けを繰り返すカジノのテーブルゲームなどにおいて、「いくらを1ユニットとして賭けるか」「どんなタイミングで何ユニットを賭けるか」、そのための「軍資金はいくら用意すべきか」、といった計画のことを「マネー・マネジメント(money management:末尾に「system」がつくこともある)」とよぶ。







