マーチンデイル・システムもその範疇に入るだろうが、説明したとおり、はなはだ杜撰で無責任なマネー・マネジメントのシステムとしか言いようがない。
もう少しマシなシステムも、数学者なども含めて何人かによって作られ、紹介されている。そのうちのいくつかは、軍資金が増えると賭けユニットを増やし、減少すると減らすという単純なものだったりする。このやり方は、(楽しさはさておき)少なくとも長くプレイするには役に立つ。またいくつかは、賭け金のリズムを「1・1・3(1ユニット2回の後に3ユニット)」などと変えるタイミング等を示唆するものだったりする。つまり、1ユニットを10ドルとすると、「10ドル・10ドル・30ドル」というリズムで賭けるのである。
リズムを変えることには、少なくとも大数の法則の効果の具現化を遅らせる意味はあるが、期待値的には同じことだということは、知識として知っておいてもらいたい。
少し勝って大きく負ける
「破滅型ギャンブラー」
結論的に述べるなら、コマの上げ下げをしようが、どんなマネー・マネジメント・システムを使おうが、数学上の期待値を打ち負かすことはできない。
たとえばマーチンデイル・システムでは、トライした人々のうち、多くの割合は少しばかりのプラスを享受できるだろうが、残りの少数が大きく負けることになろう。長い目で見て、多勢による小さなプラスの合計は、少人数による大きなマイナスをカバーすることはないだろう。
『ギャンブルのからくり』(谷岡一郎、講談社)
もし1人のプレイヤーが、ずっと同じような賭け方を何日も続けるなら、彼(女)は少しずつプラスを重ねていったある日、それまでに蓄積したプラスを超える金額を失うだろう。そして、次の日からまた少しずつプラスを重ね、またいつの日か同じひどい目に遭うだろう。
このように、「少し勝って大きく負ける」タイプのギャンブラーは少々危ない。「ギャンブル(等)依存症」という病気はよく知られているが、その多くはこのタイプのギャンブラーである。なまじ勝率は悪くないため、「自分は強い」「私のシステムで勝てる」などと考えてしまう。負けて反省するにしても、「あの大負けする日をなんとかすればいいのだ」などと、数学的には無理なことを考えるのみである。
筆者は、この種のギャンブラーを「破滅型ギャンブラー」とよんでいる。破滅型とする理由は、大きく負けるときに「生活を圧迫するほどの金額」を負ける可能性があるからである。短期的に借金が必要になったりするのも、このタイプが多い。







