「やめどき」を
熟知している

 これと関係するが、優れたギャンブラーたちが守り、エセ・ギャンブラーたちにはあまりうまくできないことがある。

 それは「やめるタイミングを見極める」ことである。筆者の知っている尊敬するギャンブラーには、目標値(勝つ金額)に達したらやめる人もいれば、一定時間(あらかじめ自分で決めた時刻)が来たらやめる人もいる。彼(女)らに共通しているのは、最初に決めた軍資金を使い尽くしたときは必ずやめることだ。やめることができない人は、借金をしてでも続けることが多く、泥沼にはまるタイプである。

 かつてバブル景気に沸き立っていた頃、株などで儲けた自称「強いギャンブラー」たちが、派手な消費で幅を利かせていたものだ。結局バブルがはじけ、不良債務を抱えた者や団体が、晩夏の蚊のごとく出現したことを多くの人が覚えておられよう。この人たちは、「やめるべき時」がわからなかったエセ・ギャンブラーの仲間であろうと思われる。

 100万円、200万円と利得があるあいだは、(誰でも株を買えば儲かる時期であったにもかかわらず)自分の実力だと信じ、損を出したときは「こんなはずはない」などと、理屈の通らない思考に入ってしまった。特に、実社会で負けたことのない人々(エリートなど)に多い思考プロセスであったが、要するに、彼らは本当のギャンブルを知らない人々だったのである。

「コマの上げ下げ」は
ギャンブルの要

 コマの上げ下げとは、賭け額(コマ)を定期/不定期に変化させることである。コマの上げ下げを適宜できないギャンブラーは、勝ち経験が多くなることはあまりないものだとも述べた。

 そのいちばんの理由は、「大数の法則の効果」の具現化が早まるからだと考えてよい。

「賭けのおもしろさをあまり損なわない」という条件下で、大数の法則の効果の具現化を遅らせる方法の1つは、「メリハリのあるコマの上げ下げをする」ことであるが、これがけっこう難しい。より具体的な方法を考えてみよう。