2022年の診療報酬改訂では財務省側は「0.3%台前半」を主張して譲らなかったが、最終的にはこれに約440億円上乗せした0.43%で決着。
実は日医の政治団体である日本医師連盟などが、財務大臣だった麻生太郎氏率いる麻生派に5000万円の政治献金をしていたため、「カネと票」が予算編成に影響を与えたのではないかという指摘がなされた(2023年7月18日 東京新聞)。
しかし、簗大臣が口にしたのは、そういう便宜ではなく完全な「報復」だ。
いくら自民党でもそんなヤクザのようなことはやらないだろと思う人も多いのではないか。実際、評論家やワイドショーコメンテーターの中には、簗大臣の予算カット発言を「前代未聞」「あり得ない」などと驚いている人もいる。
30年前にもあった
「報復発言」の衝撃
ただ、自民党の歴史を振り返ってみると、「応援しない自治体は報復として予算カット」というのは実は多くの議員が主張していたことだった。
それがよくわかるのが、1996年11月28日の朝日新聞だ。紙面の片隅に以下のような記事が掲載されている。
《「新進党大勝地域は予算減らせ」自民党内で「報復発言」相次ぐ 加藤幹事長も影響を示唆》
1996年10月20日の衆議院選挙で、小沢一郎氏率いる新進党が大勝した地域がいくつかあった。
それを受けて自民党内では新進党候補者を支援した自治体や業界団体に「報復」として、予算カットや陳情拒否などをすべきという意見が盛り上がったのである。当時マスコミが報じた「怒れる自民党議員」の声をご紹介しよう。
「小選挙区で新進党を応援した知事、市町村長には予算を回す必要はない」(同上)
「一人しか生き残れない選挙でトヨタ(自動車)が、新進党のため労使一体で選挙を戦ったことは全県的影響だった。中部国際空港などの陳情を受けるべきではない」(読売新聞1996年11月27日)
こういう報復ムードが高まる中で、自民党の役員連絡会では「予算は自民党議員が多い所に重点的に配分すべきだ」との方針を確認している。つまり、30年前の自民党では、簗大臣のように「選挙での支援と予算配分を結びつける発想」が、一議員の暴論どころか党役員会で公然と語られていたのだ。
さて、こういう話をすると決まって「30年前は今よりもおおらかで、コンプラもゆるかった」とか言って、1990年代の日本人をモラルが欠けた人々のように印象づけて、当時の行いを正当化する人もいるだろう。
しかし、30年前の国民も、こういう自民党の思い上がった言動に怒りを覚えた人は多くいたし、自民党内でも「邪道だ。予算は国民のためのもので、政党のものではない」(同上)という身内批判があがった。







