「このタンクの役割は?」
という疑問で調べていくと、後に事故経過を解析する中で大きなポイントになったアイソレーションコンデンサ(通称イソコン)という自動冷却装置だったことが判明し、それまで見えなかった原発の構造が、だんだんと見えるようになってきます。
当時の私が考えていたのは、
「できる限り正確な模型を作ることで、現場の作業員の方々がいかに巨大なものと、今現在戦っているかを伝える」
ということでした。
原発の建屋は、外観だけを見るとただの四角い建物で、その内部に格納されている原子炉のサイズや形状は、分かりません。その内部に巨大な構造物があり、信じられないほどの高線量の中で作業員の皆さんがまさに決死の復旧作業をされているのです。同スケールの鉄道模型のNゲージの作業員フィギュアを各所に配置することで、その様子は一目瞭然となりました。
正確な模型で報道することは、これまで原発取材を重ねてきたジャーナリストとしての責務だと思っていました。
実働120時間を超え
完成間近で募った葛藤
そして製作開始から2週間、実働120時間以上をかけて、ようやく模型は完成に差し掛かろうとしていました。
この時、私が当面の展示の目標にしていたのが、5月14日から始まる静岡ホビーショーの合同展示会でした。会社に特に報告をしないで勝手に作り始めた模型なので、まだ番組に使用する予定などありません。最初は、全国から数多くの模型サークルが集まるこの展示会で、所属していた模型サークル「ろうがんず」のブースにこの模型を展示することが、現実的な目標だったのです。
睡眠時間を削って製作を進めながらも「こんなものを作っていいのだろうか」という葛藤は常にありました。自分としては理工系出身のジャーナリストの使命感から作り始めた模型ですが、被災された大勢の福島の方々が、まさに命がけで不安な思いで避難しておられる時期だけに「展示して気分を害する人もいるのではないか」という不安が付きまといます。







