東急ハンズの看板Photo:JIJI

福島第一原発事故直後、テレビ各局が苦慮したのが「原子炉の中で何が起きているのか」をどう伝えるかだった。そんな中、元テレビ朝日アナウンサーの松井康真氏は、ネットに流出した「本物の図面」をもとに、1/144の原発模型を自作。実働120時間を超えて完成した模型は、やがてテレビで放送され、大きな反響を呼ぶことになる。※本稿は、元テレビ朝日アナウンサーの松井康真『私とプラモデルの半世紀』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

原発の正確な構造を模型で
報道できないかと考えた

 震災から1カ月程が経過したところで、私は本来のアナウンス部の業務に復帰しましたが、それ以降もずっと原発班のバックアップに当たりました。その時期、報道関係者の誰もが考えていたのが、「原発の正確な構造を模型で紹介できないか」ということです。核物質防護やテロ対策のために、原子炉やそれを含む建屋の図面は基本的に一般公開されておらず、NHKを含むすべてのテレビ局は東京電力から提供される情報を基に不正確なポンチ絵のようなイラストや概念模型を作るのが精一杯だったのです。

 そんな4月下旬のある日、いきなりネット上に福島第一原発1号機原子炉建屋の正確な二面図が流出するという事件が起きました。偶然それを発見した私は、消されないうちにすぐにダウンロードし、取材で出会った複数の原発専門家に確認をとりました。彼らの回答は、「間違いなく本物です」ということでした。

 そして、地震の発災直後からほぼ休みなく働いていた私に人事部から「5日間の強制的な連続休暇」が命じられたのも、殆ど同じタイミングだったのです。