フランスで55万人デモ、一部は暴徒化…高福祉国家が「欧州の病人」に転落した深刻なワケPhoto:Carl Court/gettyimages

「欧州の新たな病人」となったフランス

 フランスで10月17日、物価高や公共サービスの質の低下などに抗議する大規模なデモが発生した。内務省によると、全国で約55万人が参加。一部の参加者が暴徒化し、商店の略奪や放火などが相次いだ。翌18日、マクロン大統領は国民に冷静な対応を呼びかけたが、具体策には踏み込まなかった。

 こうした抗議の背景には、生活への不満に加え、経済の低迷や膨らむ国家債務、財政再建をめぐる政治の分断がある。フランスはいま、深刻な構造問題に直面している。

 不満の広がりは、今回のデモに始まったものではない。9月30日には、全国356の高校で、教育環境の改善を求める高校生らが抗議活動を展開した。すし詰めの教室や教員不足、老朽化した校舎など、訴えは多岐にわたった。

フランスで55万人デモ、一部は暴徒化…高福祉国家が「欧州の病人」に転落した深刻なワケ全国規模の抗議デモで警察と参加者が衝突し、破壊されたパリ市内のレストラン Photo:Anadolu/gettyimages

 抗議はその後、大学生や市民にも広がり、パリ警視総監が運動の拡大に警戒感を示す事態となった。教育現場への不満もまた、公共サービスのあり方や政府の対応を問う声の一つとなっている。

 金融市場も警戒感が強まっている。2026年10月初め、フランスの10年物国債の利回りが一時5%を突破し、2002年以来の高水準を記録した。

 世界的に金利が上昇している局面ではあるが、フランスの突出ぶりは際立つ。ドイツ国債との利回り差(スプレッド)は一時150bp前後に広がり、欧州債務危機さなかの2011年以来の水準である。

 これはギリシャの利回りも上回っており、投資家がフランスに対して大きなリスクを感じている証左である。イギリスのテレグラフ紙はフランスを「欧州の新たな病人」と評した。