行政手続きの複雑さ、デジタル化の遅れ、熟練労働者の不足も重くのしかかる。さらに、米国のインフレ抑制法(IRA)による巨額の補助金に惹かれ、ドイツを代表する企業までもが高コストな欧州を避けてアメリカ投資を優先する「資本逃避」も空洞化に拍車をかけている。
OECDは2025年の対ドイツ経済審査で、過剰な行政負担や競争を制約する規制が、企業の新陳代謝や生産性の向上を妨げていると指摘している。
ただし、ドイツの財政は健全であり、長期的に見れば経済を立て直せる可能性は高いだろう。
高福祉国家フランスを追い詰める「財政の限界」
フランスは伝統的に中央集権的な国家であり、政府が産業政策や経済運営に深く関与してきた。戦後は国家による経済計画や国有企業の育成を進め、航空宇宙、原子力、鉄道などの分野で国際的な競争力を築いた。
さらに、ルイ・ヴィトンを擁するLVMH、エルメス、ロレアルなど、世界的な高級ブランド企業も存在する。
同時に、社会保障や公共サービスの分野でも国家の役割が肥大化していった。フランス国立統計経済研究所(INSEE)によれば、2025年の公的支出はGDP比57.2%に達する。EU平均(49.5%)を8ポイント近く上回る高水準だ。
こうした公的支出の大きさは、社会保障や公共サービスを広く支えるフランスの国家運営の特徴を示している。
フランス国立統計経済研究所によれば、フランスの2025年の財政赤字はGDP比5.1%、政府債務残高は115.6%に達した。フランス政府は、今年の財政赤字が5.4%に拡大し、債務残高は2026年に119.3%、27年には121.7%と、統計開始以来の最高水準に達すると見込む。
それに対して、ドイツの2025年の財政赤字はGDP比2.4%にとどまり、EUの基準である3%を下回る。政府支出もGDP比50.3%と、フランスより7ポイント近く低い。
ドイツは財政ルールを見直してインフラや防衛への投資を拡大できるが、フランスは景気対策を講じるほどに債務が膨らむ。
国家主導の成功モデルを象徴してきた原子力発電も、老朽化した設備の更新や新設に多額の投資が必要となっている。政府は電力大手EDFを完全に国有化し、原子力事業を支える体制を強化したが、巨額の投資負担が財政面の課題となっている。







