ここから見えてくるのは、休憩の質を決めるのは長さではなく中身だということです。デスクでスマホを見ながらの昼休みは、体こそ座って休んでいても、頭は情報を浴び続けています。一方、楽しいと感じる時間や仕事から頭が離れる時間は午後に向けた回復のスイッチになるのでしょう。
やり方にこだわる必要はありません。ご飯を食べ終えたら近くの公園や街路樹のある道を15分だけ歩いてみます。公園が遠ければコンビニまで遠回りするのでもかまいません。
コツはひとつ、スマホをデスクに置いていくことです。歩きながら画面を見てしまえば、頭が仕事や情報から離れなくなります。空の色や風のにおいに気づくくらいのあてのない歩き方で十分です。気の合う同僚を誘えば続けやすくなりますし、ひとりで歩けば考えごとから離れる練習になります。
昼休みに席を外すことをサボりのように感じる人もいるかもしれませんが、実際は逆です。歩いてきた人のほうが午後の仕事が捗るのです。外に出られない日は、席で目を閉じて数分間肩の力を抜くだけでも代わりになります。
仕事はやりかけで終えると
翌朝のスタートが速くなる
帰りの電車の中で、ふと昼間の仕事の続きを考えてしまう。お風呂に入っていても、やりかけの作業が頭をよぎる。やり終えた仕事はすっと忘れられるのに、未完了の仕事は頭の片隅に残り続けます。しかし一見厄介なこの思考のクセは、うまく使えば強力な味方になります。
ロシア社会主義共和国保健省精神医学研究所のツァイガルニクの研究では、参加者に複数の作業を順番に行ってもらい、半分は完了させ、もう半分は途中で中断させました。あとからその作業内容を思い出してもらうと、中断した作業のほうが終えた作業よりも約2倍多く思い出されたのです。脳は、終わっていないものを忘れまいとして、何度もリマインダーを鳴らし続ける性質があります。
『悩まない人の習慣』(堀田秀吾、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
この性質は、日々の仕事にうまく使うことができます。たとえば、報告書を書き終える直前で、あえて手を止めておきます。最後まで書き切らず、次に書くべき1文だけを残しておくのです。そうすると、翌朝デスクに座った瞬間、続きがするすると出てきます。未完了のまま置いておいた分だけ、脳がその続きを覚えていてくれるからです。
いつも完璧に終わらせてから帰ると、翌朝は考えることから始めなければなりません。しかし、あえて途中で切り上げて帰れば、翌朝は「考える」からではなく「書く」から始められるのです。
気をつけたいのは、家に帰ってからもずっと考え続けてしまうタイプの人です。手帳に「ここから再開する」と1行書いて閉じれば、脳は「もう覚えておかなくていい」と判断し、夜のあいだはちゃんと休んでくれることが他の研究でもわかっています。脳に居座らせず、紙に居座らせる。それが夜の頭を静かにするコツです。







