武田薬品 「破壊と創造」最終章アリナミン製薬が2月に発売した「アリナミン ナイトリカバー 快眠ユーグレナ」 Photo by Masataka Tsuchimoto

かつて武田薬品工業の大衆薬子会社だったアリナミン製薬は2月、新商品「アリナミン ナイトリカバー 快眠ユーグレナ」を発売した。武田薬品の傘下から離れ、ファンドを転々として約4年。この間にアリナミン製薬から次々と商品が発売されてきたが、今回の新商品にはアリナミンの効用の柱だったある成分が配合されていないのだ。連載『武田薬品「破壊と創造」最終章』の本稿では、今回の新商品が武田薬品OBらに驚きと一抹の寂しさを抱かせるに至った要素を解説する。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

アリナミンシリーズなのに「TTFD」がない
2月発売の新商品に驚きの声

「アリナミンシリーズなのに『TTFD』が消えた!」

 かつて武田薬品工業の大衆薬子会社だったアリナミン製薬は2月、睡眠の質という疲労と密接に関連する事象に着目した新商品「アリナミン ナイトリカバー 快眠ユーグレナ」を発売した。同商品はユーグレナグラシリス由来パラミロンを配合。睡眠の質を改善し、起床時の疲労感を軽減する機能、作業時の一時的なストレスを緩和する機能が報告されているとうたっている。

 この新商品に対し、武田薬品OBから冒頭のような驚きの声が上がっている。

 アリナミン製薬は、国内製薬最大手の武田薬品の傘下だった大衆薬子会社「武田コンシューマーヘルスケア」が前身。武田薬品は2021年に米投資ファンドのブラックストーンに約2400億円で売却し、その際に現社名へ変更した。アリナミン製薬は24年には、ブラックストーンから東アジア中心に活動する独立系プライベート・エクイティ・グループのMBKパートナーズへ売却(額は非公表、売却後もブラックストーンは少数株に再投資すると表明)された。今でも大衆薬業界で大手の一角に数えられる。

 さて消えたTTFDとは何なのか。武田薬品OBが驚いた理由とは?