夜になって「やっぱり転職しようか」「このまま家族と関係を続けていくのか」などの深刻な問いが頭に浮かびやすくなるのは、脳のメモリが底をついているサインです。

 夜に重大なことを決めそうになったら、「これは明日の朝に考える」とメモだけして、そこで考えるのをやめましょう。判断を翌朝に持ち越すだけで、結論の質は変わります。

ぐるぐる悩んでも
解決にはつながらない

 1つの悩みごとに対して同じことを何回も考えてしまうことがあります。頭はフル回転しているのに答えには一歩も近づけない。しかし、「いま自分は真剣に考えごとをしている」という感覚だけはあったりします。

 ところが実際には同じ映像を早送りと巻き戻しで繰り返し再生しているだけで、新しい情報は何ひとつ増えていません。考えているつもりで、ただ同じ苦しさを繰り返しているだけなのです。

 ミシガン大学のトレイナーらは、反芻を測る質問紙を分析し、地域で暮らす大人1131人のデータから、反芻には2種類あることを見つけました。ひとつは「どうして自分ばかり」と受け身に繰り返す「ぐるぐる型」、もうひとつは問題を解くために意図して内側へ入っていく「内省型」です。

『ハーバード、イェール、スタンフォード……世界トップ大学の研究でわかった悩まない人の習慣』書影『悩まない人の習慣』(堀田秀吾、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 ぐるぐる型の傾向が強い人ほど、そのときだけでなく、時間がたったあとの落ち込みの深さにも結びついていました。内省型は逆に、時間がたつと落ち込みをやわらげる側に働いていました。

 この違いを生み出しているのは、考えに費やした時間の長さでも考えの深刻さでもありません。その考えが、次の一歩につながるかどうかです。ぐるぐる型の問いは、答えの出ない構造になっているため、いくら繰り返しても堂々巡りを続けるしかないのです。

 ぐるぐる型か内省型かを見分ける手がかりは「問いの形」にあります。「どうして私ばかり」などで始まる問いはぐるぐる型、「次はどうするか」などで始まる問いは内省型です。

 大切なのは問いの形を変えることです。「どうして私はいつもこうなんだろう」を「次に同じ場面が来たら何をどう変えよう」に変えることで、過ぎたことの理由を探す時間から、次に何をするかを考える時間に切り替わるのです。

 答えがすぐに浮かばなくても、問いの向きを変えることで、堂々巡りのループから抜け出すことができます。