米ナスダック最高値から一転
中国AIが猪突猛進の追い上げ
現時点でAI産業は、世界経済の牽引役であることは間違いない。米中はAI覇権争いの真っただ中にある。これまで優位だったのは米国であり、大手投資家は強気の見方を崩さなかった。その結果、10月初旬に米ナスダック総合指数は最高値を更新した。
ところが、米国優位は急速に揺らいでいる。中国勢の成長が予想以上に急速だからだ。7月に月之暗面(ムーンショットAI)が発表した「Kimi K3」は、パラメーター数が2兆8000億に達した。米調査会社の総合評価では、アンソロピックとオープンAIの最新モデルに次ぐ水準だ。なお、ウェブ開発部門ではムーンショットAIが首位に立った。
8月にはアリババも、2兆4000億パラメーターの「千問3.8-MAX」を投入し、世界のトップグループに食い込んだと喧伝した。中国勢は9月、16の新たなAIモデルを発表したと報じられた。
中国AIの成長を支えるのは、技術情報を公開するオープンモデルと低価格だ。ディープシークの利用料金は、アンソロピックの約20分の1といわれている。中国の推論モデルの性能向上と低価格は、米企業にも重要な変化をもたらし始めている。
複数のモデルを仲介する米オープンルーターによると、7月半ばに米企業が処理したトークンの58%を、中国モデルが占めた。これを受けて米国議会は、民泊大手のAirbnbなどに中国モデルの利用について説明を求める事態に発展した。中国勢は、米国勢のすぐ背後に迫っている。
また、中国では、半導体関連産業も急速に成長を遂げている。AI半導体の寒武紀(カンブリコン)は、1~6月期の売上高が前年同期比で倍増した。ファーウェイも、既存の「アセンド」シリーズのAIチップの開発ペースを引き上げている。さらに、半導体製造装置では、中国の最大手の北方華創(NAURA)が世界5位に浮上。中国産装置の利用率は3年前に約1割だったのが、今では2~3割へ高まったといわれている。
メモリーでは、DRAM分野でCXMTが世界シェアの1割に成長した。NAND型フラッシュメモリー市場では、韓国のサムスン電子、SKハイニックスに次いで長江存儲(YMTC)が3位に迫り、出荷量で日本のキオクシアや米マイクロンテクノロジーを追い抜いた。AIの運営に欠かせない電力に関しても、中国は今後5年間で米国の6倍超の発電能力を増やす見通しだ。







