なぜコアウィーブショック起きた?
財務で注目すべき点は…

 ここで、世界に衝撃を与えた中国CXMTの威力を詳しく分析していこう。今月10日に発表したのは、現在主流の6F2と呼ばれるセル(記憶素子)構造を、4F2に転換した製品を年末に投入するということ。これは、2028年の量産化を目指していたサムスン電子に、2年も先行することになる。

 4F2構造は、DRAM上でデータを一時的に保存する領域を、部屋に例えると分かりやすい。CXMTは、基板上にある部屋の面積を3分の1ほど小さくして、並べ方を工夫した。この成果として、一定の面積に保存できるデータ容量を3~5割増やした。大容量化やコストの引き下げにとても有効だ。

 CXMTは年末までに、この技術を使ったAIサーバー向けの製品を売り出す予定だ。これには日米韓のメモリーメーカーも戦々恐々とせざるを得ないだろう。それに伴い、主要先進国のAI関連株価が一時、ほぼ総崩れの状況になったというわけだ。

 米国の株式市場では、中国政府が主導する新型チップの開発加速や電力供給体制の拡充などで、米国内のAI関連分野の優位性が低下する不安が広がった。その象徴が、財務面の不安を募らせたコアウィーブショックだ。

 コアウィーブの株価は10月上旬に約20%下落した。5年もの社債の利回りは、16.2%に急上昇した。金融市場が想定する、デフォルト確率は60%に跳ね上がった。

 大手投資家は、金利上昇に加えて中国AIの成長で、米国AIの収益性が低下する懸念をいっそう強めている。AI相場の展開は確実に変化しつつある。

 データセンター分野で、営業キャッシュフロー(本業で稼いだ現金)の範囲で投資を賄えているのは、マイクロソフト、アルファベット、メタくらいだといわれている。一方の、アマゾン、オラクル、コアウィーブは、フリーキャッシュフローがマイナスであり不足分は社債発行など借入で調達している。

 2025年の6社の設備投資実績は4870億ドル(約77兆円)、今年は8400億ドル(約132兆円)、来年は1兆ドル超の見込みだ。この投資の増加率は、各企業のキャッシュフローの伸びを上回る可能性が高い。「投資と稼ぐ力のミスマッチ」が深刻になると、データセンター運営が長期的に持続可能か、疑問符が付く。