IT企業の財務悪化に要注目
物価と金利の上昇でインフレ懸念

 現在のAI運用は、ユーザーの端末と巨大なデータセンター間で、指示や回答をやり取りしている。現在の技術を前提にすると、データセンターの拡充がAIの成長に不可欠だ。

 ただ、多額の資金でデータセンターを増設し続けると、有力なデータセンター企業であっても、財務の悪化は避けられないだろう。

 世界的に金利は今後、一段と上昇する恐れが高い。中東情勢の混迷によるエネルギー価格や輸送運賃の上昇で、世界的にインフレの懸念が上昇している。主要先進国を中心に、金融引き締めの観測も高まるだろう。財政悪化の懸念も金利が上昇する要因だ。

 これまでのように多額の借り入れでデータセンターを建設し、AIを開発して収益を得るビジネスモデルの持続性を、疑問視する見方が増えている。

 中国勢は、低コストのチップや推論モデルの開発体制を拡充している。データセンターも増やしている。低価格を武器にした中国勢がシェアを伸ばせば、米国勢の粗利率は低下するはずだ。

 今すぐにコアウィーブなど、大手データセンターが破綻することはないだろう。しかし長い目で見ると、借り入れに頼ったデータセンター増設とAI開発が、制約要因になることが懸念される。

 現在の大手AI関連企業のビジネスモデルでは、AI集中型の強気相場が調整局面に入る展開は避けられないだろう。その時、まさにAIバブルの終焉を迎えることになる。

 世界の金利の推移、ハイパースケーラーと呼ばれるデータセンター運営事業者の財務内容は、より慎重に見るべきだ。

(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

真壁昭夫さんのプロフィール