マツダ クルマ開発本部 主査 山口浩一郎さん(以下、山):まず前提として、世界の規制環境や市場の志向を見ると、ディーゼルの市場は縮小しています。ヨーロッパでは最近になって次の世代のディーゼルも出てきてはいるのですが、今回のCX-5をグローバルで展開することを考えたとき、ディーゼルをメインに置くのは現実的に難しかった。

 CX-5はアメリカが一番台数の多い市場です。主戦場はアメリカです。ディーゼルについてはいろいろとチャレンジもしたのですが、残念ながら最終的に根づくことはありませんでした。フェルさんの言う通り、日本では熱烈に支持していただいています。けれどもグローバルの市場で見ると、ディーゼルはハッキリ少数派です。造って売る側の立場からすると、国内市場のためだけに新しい規制に合わせたエンジンを開発して載せるのは、非常にハードルが高かった……ということです。

マツダ新型CX-5マツダ新型CX-5(広報写真)

F:ますます高まる規制基準。厳しい基準に合わせて造るのは難しいと。

山:いや、技術的にできないのかと聞かれれば、それは明確にNOです。できなくはありません。ただ、エンジンを造るには排ガス後処理のコストも含めて考えなければいけません。排ガス処理は大排気量の方がやりやすいんです。燃焼や後処理で規制に対応しつつ出力を最適化する。これらはエンジンが小さければ小さいほど難しくなる。

 熱の面でも、大排気量の方がやりやすいところがあります。さらに排ガスを処理する機能を追加する際には、排気量や出力に対して、どれだけコストがかかるかも考えなければいけません。技術的に規制をクリアできれば、それでいいというわけではないんです。

F:上のクラスなら車両価格も高いので、高価な排ガス処理装置を載せても、そのコストを吸収しやすい。でも小さいクルマではそうはいかない。造れないのではなく、ソロバンが合わないということですね。