アンソロピックの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)ダリオ・アモデイ Photo:Kevin Dietsch/gettyimages
米AI開発大手アンソロピックが早ければ11月中旬に上場する見通しだ。時価総額は最大314兆円に達すると予想され、史上最大級のIPOになる一方、これが「AIバブル崩壊」の引き金になる懸念が浮上している。一体どういうことか。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
アンソロピックIPOで時価総額300兆円規模か
早ければ11月半ば、世界のAI開発企業の中で、最も成長期待が高いといわれる米アンソロピックが新規株式公開(IPO)を実施する見通しだ。10月26日、同社は目論見書(S-1)を米証券取引委員会(SEC)に公開提出した。ナスダックにティッカー「ANT」で上場する計画だ。
今回の公開で調達する資金は、約860億~1000億ドル(1ドル157円で約13.5兆円~16兆円)、時価総額は約1兆5000億~2兆ドル(約236兆円~314兆円)に達すると予想される。その規模は、今年6月に上場した米スペースX(約860億ドル)と並ぶか、それを上回る史上最大級の案件になるとみられる。
提出された目論見書で、アンソロピックはIPOで得た資金で、財務体制を強固にすることなどを明記した。また、AIが「人類存亡に関わる脅威」にもなり得る点を強調した。IPOが実現すれば、世界トップのAI企業としての地位を確立することになるだろう。期待をかける主要投資家は多い。
一方、ここへ来て、世界的に株式市場が不安定になっている。特に、一部のAI関連企業に対しては財務悪化の懸念が強くなっている。
足元で金利が上昇したこともあり、新興の大手クラウド企業、いわゆる「ネオクラウド」の先行きについては不透明感も出ている。さらに、サイバー攻撃が相次いでいることなどから、巨額の設備投資が続くことに警戒する機関投資家も増えている。
株式市場にとってマイナス要因も増えている。中間選挙後、イスラエルと米国がイランへの攻撃を激化させ、原油価格などが上昇してインフレ懸念が一段と高まる恐れもある。アンソロピックのIPOで多額の資金が吸収されることで、AI関連企業の株式を売却する投資家が増えることも想定される。「AIバブル」は崩壊に向かうのだろうか。







