アルファベット、メタ、オラクルへの懸念
アンソロピックの売上高の約半分は、アマゾンやグーグル、マイクロソフトのクラウドを通じた販売が占める。巨大クラウド企業の顧客基盤が広がれば、同社の収益機会も増えることになる。
一方、実際のコンピューターの機能などについては、大手クラウドに加えNscaleやLambdaといった新興クラウド企業からも調達している。今後、コアウィーブに代表される新興クラウド企業の財務が悪化すると、データセンターの供給が滞り成長の足かせになることも考えられる。
つまりアンソロピックの成長には、巨大クラウド企業の事業拡大と、新興クラウド企業の経営の安定が欠かせないとみられる。ここで注意が必要なのは、それらの点に関して懸念が高まり始めたことだ。
10月下旬以降、AI関連企業の先行きを慎重に見る大手投資家が増え始めている。彼らが危惧するのは、金利上昇などで、巨額投資の資金を調達することが困難になり、クラウド企業などの資金繰りへの懸念が出始めていることだ。
たとえばグーグル親会社のアルファベットでさえ、直近決算でFCFはマイナスだった。10月下旬の決算発表から、同社の株価は大幅に下落した。
メタのFCFは、2012年のIPO以降で初めてマイナスに転じた。メタの長期債務は1年で約809億ドル(約12兆7000億円)に増加。10月下旬に同社は最大950億ドル(約14兆9150億円)の増資に追い込まれた。メタも、FCFの減少が嫌気されて株価は下落した。
注目したいのがオラクルだ。同社は2029年5月期にFCFを黒字化すると宣言した。背景には、設備投資のピークアウトを打ち出さざるを得なかったことがある。設備投資の積み増しよりも、純現金収支のプラス転換を優先し、財務健全化を求める投資家が増えつつあるからだ。
一部投資家の心理は慎重になっており、新興のデータセンター運営企業の株価下落にもつながった。8月半ばから10月末まで、関連銘柄を組み入れたETF(上場投信)の中には、価格が4割超下落したものもあった。
データセンターで大量の半導体を使う、クラウド事業者の先行き不安は一部の半導体関連企業にも波及した。10月30日、インテルの債務保証コスト(CDS)は過去最高を記録。新興クラウド企業のコアウィーブの信用不安をきっかけに、社債市場では今後の財務悪化、デフォルト(債務不履行)の増加を警戒する投資家が増えつつある。







