IPOがAIバブル崩壊のきっかけになる懸念も
そうした状況下、中長期的な高成長の実現に向け、高水準の設備投資を維持する企業は多い。中には、計画額を引き上げるAI関連企業もある。
投資家が財務面への懸念を持ったことに伴い、今後、資金調達は社債や借り入れよりも、メタのように増資にシフトすると予想される。その中で、アンソロピックが史上最大級といわれるIPOを実施する影響は小さくはないだろう。
アンソロピックはIPOで、個人投資家に、株式の15~20%の割り当てを検討しているようだ。残る700億~850億ドル程度は、機関投資家が購入することになるだろう。株式の発行が増加すると予想される中、機関投資家が資金調達する余力も少しずつ低下している。
足元の米国の金融市場では、短期国債の発行が増え、市場の余剰資金が吸い上げられている。米財務省は、長期・超長期よりも金利水準の低い短期国債の発行を増やす方針だ。銀行の準備預金も減り始めた。日米欧で中央銀行は追加の利上げを示唆している。
現在、世界の株式市場に流入する、新規の投資資金は増えやすい環境ではあまりない。かなりの機関投資家が、アンソロピックのIPOに参加するため、保有する銘柄を売却するだろう。その中でも、株価に割高感があり、流動性も高い大手のクラウド運営企業の銘柄への売り圧力は高まるかもしれない。それは、株式に対する需要の減少要因である。
11月3日の米国の中間選挙の後、米国やイスラエルは、イランに対する攻撃を激化させる可能性があるとの見方がある。イラン侵攻の泥沼化は、エネルギー資源や肥料、海運市況の押上げ要因になり、世界的な物価上昇の懸念が高まる。
米国のブラックフライデー~クリスマス・ニューイヤー商戦が、当初予想ほど盛り上がらないとの見方も浮上した。これまで世界経済を支えてきた、米国の景気減速が鮮明化するようだと、投資家のリスク許容度は追加的に圧迫される。
それに加えて、当面、世界的に株式の需要と供給のバランスは不安定化しそうだ。IPO直後に売り注文が急増すると、AIバブル崩壊の懸念は一気に現実味を帯びるだろう。








