社長や会長の考え方はまるで儒教的
リストラ計画は「3段階」あった

筆者 儒教的な考え?

A氏 「長時間労働は正しい。特に20~30代半ばまでくらいは……。若いうちは仕事を大量にこなさないと、将来質の高い仕事はできない」といったものだ。

 ある一面では正しい指摘かもしれないが、これでは人が育たない。大量採用で、大量に辞めることを前提にした考え方にしか見えなかった。要は、育成する意欲に乏しいのだと思う。

筆者 だから、あっさりとリストラするわけですね。

A氏 社長からは、「数ヵ月以内に、広告制作部130人の中で30人ほどを辞めさせることができるか」と尋ねられた。私は「ええ!?」と驚き、声が出なかった。130人の平均年齢は20代後半。入社1年目もターゲットになるが、あまりにも無理がある。

 それでも、私としては「ノー」と言えない。仕方なく、数日以内に30人のリストをつくった。下は23歳で、上は28歳だった。

筆者 何を基準に30人を選んだのか?

A氏 広告を制作するクリエイターに明らかに向いていないと思える人。そして今後、育成したところであまり伸びないと思われる人。30人の直属上司であるマネジャーにもヒアリングをしたところ、私が選んだ30人とほぼ一致していた。

筆者 リストを社長に見せたところ、どのような反応でした?

A氏 「それで進めてくれ」と淡々と言われた。罪の意識はないように見えた。社長は3段階に分けて、リストラを進めようと考えているように思えた。まず、30人の社員とキャリア面談をする。辞めるように仕向けるために、キャリアについて話し合う場であり、残るための相談ではない。