筆者 2回目のキャリア面談では、どうなるのですか?
A氏 この場で、彼らは辞める意思をそれとなく口にし始める。(⑥)たとえば、「やはり、自分には向いていないのでしょうかね」といった具合に。そこで私は、「イエス」とは言わない。「マネジャーとあなたが入社した頃に書いた、キャリアシートなどを見て考えてごらん」と話す。
その後、マネジャーと話し合い、結局3ヵ月以内に30人全員が辞表を書いた。2009年の2月頃かな。外部の労働組合などに持ち込まれるような、トラブルはなかった。
筆者 23歳~28歳の未来ある若者を辞めさせることに、ためらいは?
A氏 それはあった。だが、私のレベルではどうすることもできなかった。30人は入学難易度の高い大学を卒業し、新卒で入ってきたから、履歴が汚れていない。次の会社は、数ヵ月以内に見つかったようだ。その大半が他の業界に移った。
問題は、ここからだった。社長らに、「さらに40~50人を辞めさせてほしい」と命令された。(⑦)ここでも、断ることはできなかった。ただ、もはや私にはその40~50人をセレクトする基準が思いつかない。残っているのは、レベルが同じような社員たちだった。
そこで、残っている100人ほどと面談をした。キャリア面談ではあるが、退職勧奨に近いものだった。
「もう40~50人辞めさせてくれ」
同期社員を使ってガス抜きまでさせた
筆者 特に、どのあたりに難しさを感じましたか?
A氏 100人の大半は20代だった。面談の場で多少は言い返すこともあるが、会社のからくりを知らないから、抵抗することもできない。こちらとしては、やりにくいと感じなかった。マネジャーから「あいつは辞めると言わない。テコでも動かない」と報告を受けたこともある。このタイプの社員は、30人のリストに入れようかどうか迷ったが、結局辞めるように仕向けた。