昨年12月に朝日新聞がその存在を報じて以来、議論を呼んでいる「追い出し部屋」。これは、戦力外と見なされて異動を命じられた社内失業者の受け入れ先部署の通称であり、業績不振でリストラを進める大手電機メーカーを中心に設置されていると言われる。追い出し部屋問題では企業側への批判が高まっているが、戦力外になりかけている社員の士気を引き上げ、再び有効活用する選択肢は企業側にないのだろうか。そして戦力外にならないために会社員が持つべき心構えとは何か。(取材・文/岡 徳之、協力/プレスラボ)
「追い出し部屋」は
10年前からすでに存在していた!
昨年12月に朝日新聞がその存在を報じて以来、「追い出し部屋」が議論を呼んでいる。
追い出し部屋とは、戦力外と見なされて異動を命じられた社内失業者の受け入れ先部署の通称であり、業績不振の大手電機メーカーを中心に設置されていると言われる。もちろん会社では追い出し部屋という名前ではなく、「事業・人材強化センター(BHC)」「キャリアステーション室」「プロジェクト支援センター」など、それらしい名称が付けられている。
しかしその実態は、リストラ候補者を集めるための部署ではないかと言われている。関係者の証言からしかうかがい知れないが、配属された社員は自分自身の出向先を見つけることや、ひたすら単純作業を行うことを会社から強いられ、最終的には「自己都合」による退職を強要されるのだという。
この報道を契機とし、厚生労働省が企業に対して「退職の強要」などの違法行為がないか調査を始めた。まずは、電機大手のパナソニックのほか、業績悪化などでリストラを進めているシャープやソニー、NEC、生命保険大手の朝日生命保険の計5社に調査のメスを入れている。
しかし、「追い出し部屋が生まれたのは、なにも最近のことではない」と語るのは、ブラック企業アナリストの新田龍氏である。「追い出し部屋の問題自体は、私がブラック企業の研究を始めた10年ほど前からすでに存在していました。この問題を朝日新聞が今回大きく報道したことで、注目を集めたのです」(同氏)