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「愛と執着心で人がほしがっているものをつくる」(株式会社Zaim代表・閑歳孝子)――古川享が聞き出す今を駆けるスマート・ウーマンの本音

林 正愛 [アマプロ株式会社社長]
【第14回】 2013年8月22日
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古川:彼は、大学生の頃にパソコン向けの最初のCADのソフトつくり、アスキーはライセンス料に数億円を払ったんじゃないかな。「このままアスキーに勤める?」と聞いたら、初任給10万円では嫌だ、民営化するNTTに勤めると言うのです。「何するの?」と聞いたら、「32ビットのCPUをつくる」と。そんなもの10年早いと言われるよ、と返したけど、6年経ってTRONの32ビットCPUが彼の設計で出てきたわけです。

 その後、マイクロソフト株式会社をつくる時に一緒になり、その後は、本社のチーフアーキテクトとして、Windows 95やIEなどさまざまなプロジェクトをリードしました。インターネットのUIをつくったのは彼です。OSは自社で開発してライセンスするだけではなく、ネットから提供して使った分だけ成果を返すべきだと、OSもOfficeパッケージもそうあるべきだと主張して、マイクロソフトも今はやめてますが。

Ruby on Railsでウェブプログラミングに開眼

古川:話は戻りますが、閑歳さんが実際にプログラムを書こうと思ったきっかけは?

閑歳:プログラマーにあこがれがありました。高校2年生のときに初めてパソコンを買って、Visual Basicに手をつけたんですけど、家族も全然パソコンに詳しくなく、高校生で、男の子に聞くのも気恥しくていったん断念しました。ただ、大学に入ったら、周囲にそういう人が結構いてまた始めたんですが、半面で、天才的な人も見て、自分はそこまでできないとも実感しました。

 日経BPに就職してからは全然やらなくなり、その後、友人がやっているベンチャーに入ってからはウェブをつくるようになり、HTMLを書くことから徐々に、エンジニアの手を煩わせるまでもないような簡単なプログラミングは、自分で独習してやるようになりました。

古川:Dreamweaverでプロトタイプをつくり、エンジニアにそれをグレードアップしてもらうみたいな感じでしょうか。

閑歳:最終的な整形の部分を自分でする感じです。その頃にちょうどRuby on Railsが出てきて、まだあまり使っている人が多くなかったのですが、その会社では早めに取り入れていました。Scaffoldという機能を知って、まさに目が開きました。コマンドを一行実行するだけでデータベースのテーブルやモデル、コントローラー、ビューが一気につくられ動的なページができる。これを手直ししていけばいいんだということが衝撃でした。

古川:私の大学院でも、Rubyは必ず習わせます。デザインをやる人でも、芸大、音大を出た人でもみんなプログラムをやりなさいと指導しています。

閑歳:インターネットで何かつくりたいという思いがある人は、プログラミングはできたほうがいいと思います。

ネットを使わない人が毎日使うようになるツールをつくる

古川:その後、アクセス解析に興味が行きましたが、なぜでしょうか。

閑歳:解析というのはたまたまなのですが、もともとプラットフォーム思考がありました。自分が用意した舞台の上、世界の中でユーザーが何か新しい気づきを得る――そのことに興味があり、解析はそれに近いと感じました。アクセス解析は機能がたくさんついていますが、そのぶん難しいインタフェースになりがちでした。

 本来、その知見を理解して判断するのは会社の社長や経営層です。そういう人たちは通常あまり解析に詳しくないので、彼らがぱっと見ていいのか悪いのか、わかるようにしたい。難しいものをかみくだいて理解しやすくしたいと思ったのです。「今はこういう状態です」ということをひと目で示してあげることが楽しかったのです。

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林 正愛
[アマプロ株式会社社長]

りん・じょんえ/BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、ファイナンシャルプランナー、英検1級、TOEIC955点。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。British Airwaysに入社し、客室乗務員として成田―ロンドン間を乗務。その後中央経済社、日本経済新聞社にて、経営、経済関連の書籍の企画および編集を行う。2006年10月にアマプロ株式会社を設立。仕事を通じて培ってきたコミュニケーション力や編集力を活かして、企業の情報発信をサポートするために奔走している。
企業の経営層とのインタビューを数多くこなし、その数は100名以上に達する。その中からリーダーの行動変革に興味を持ち、アメリカでエグセクティブコーチングの第一人者で、GEやフォードなどの社長のコーチングを行ったマーシャル・ゴールドスミス氏にコーチングを学ぶ。現在は経営層のコーチングも行う。コミュニケーションのプロフェッショナルが集まった国際団体、IABC(International Association of Business Communicators) のジャパンチャプターの理事も務める。2012年4月から慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科で学んでいる。2児の母。

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