**効果的なアウトプットができる能力
「ところでだ。君は、この考える仕事、企画って、どんなものかを具体的に考えたことはあるかな?」
「えーと、商品とか、販促とかを、よくわかっている人が、すごくいいアイデアとかを考えて、いい商品やサービスをつくっていく仕事なんじゃないですか」
「えらく、あいまいで抽象的な表現だな。聞くほうが、なるほど、と言えるような答えをするように心がけることだ」
高山は、「はい」と答えた。
「今、君が言ったみたいに、企画という業務を、漠然と捉えている人は世の中にとても多いと思う。事業における企画というものを考えると……」
と言って、安部野はノートパッドをめくった。
「まず、目的というものがあるはずだ。商品企画ならば、より原価が低く儲かるという目的もありうるが、基本的には、他の商品よりも秀でてよく売れる、あるいは、差別化できたデザインや着心地、使い心地でお客さんに注目されて、それを目当てに来店する人が増えるというような、その企画によって達成したい目的が最初にあるはずだ。企画を行う人間は、二つの要素が求められる。そして、少なくともそのどちらかに図抜けて強いことが必須の条件となる」
安部野は、ペンを手にした。
「一つ目は……、目的達成のための効果的な企画というアウトプットを行う能力、ここではこれを才能と呼ぶ。生まれながらの天賦の才能を否定するつもりは全くないが、多くの場合は、ある程度の感性のよさのうえに、努力によって培われ、後天的にこの才能は開花するものだ」
安部野は、紙に才能と書いた。