**考える仕事も、やがて分業される
「まあいい。PDCAは、プラン、ドゥー、チェック、アクションの頭文字で、企画し、やってみて、結果の確認をし、やり方の変更を行うことを繰り返すという意味だ。これを繰り返すことで、どんどん、より的確に効果的なやり方を見出していくことができるようになる、つまり、四季川さんは、自分で考え、実践してみて、その結果をよく考えてみるということを繰り返しながら、自分のビジネスの能力を高めていったわけだ」
高山は、自分が新入社員の時に、現社長の父親であり創業者、現会長の四季川保の話を入社式ではじめて聞いた時のことを思い出した。その話しぶりは、半端ではない迫力があり、新入社員の自分でさえも、その言葉の強さに感動を覚えたことを思いだした。全て、自分でつくってきた会社なので、何から何まで、自分の言葉で語れるんだろうなと思った。安部野は話を続けた。
「そして、会社の規模が本当に大きくなってきた時に、その企画業務に優れた人材が育ってきた場合、あるいは卓越した人材を採用することができた場合に、企画の立案業務を任せてみることをはじめたはずだ」
と言って、安部野はA3の用紙の組織図に、商品企画、販促企画と書き入れた。
「つまり、『成功した創業者』である四季川さんが、それまで全て自分で考えていた企画という仕事についても、分業を考えることになる。さらに事業の規模が大きくなってくると、例えば人事についても、社員がやる気を出すような、人事評価、業績評価のシステムを精度高くつくる必要が出てくる。これを考えて、常にシステムをよくすることを専任で考える役割ができる場合もある。この場合は人事企画だな」