もし半沢が量販店の店員だったら、
売り上げは2倍?いや10倍?

 「我々」という言葉を使うだけで、交渉相手はあなたのことを「仲間」だと思います。特に会社のトップに立つ人ほど孤独です。日々の決断が大きければ大きいほど孤独感は強くなっていきます。そんな相手に対して使うと効果的なのが、「我々(私たち)」という言葉なのです。

「私も一緒だ」というこの言葉には、決断を下そうとする相手の背中を押す力が秘められています。「あなたも一緒なら、やってみよう」となるわけです。

 その効果のほどは、これまでの半沢を見ていればわかるはずです。

 余談ですが、デキる販売員は商品を売る際にお客さんと向き合って立たず、横に並んだ状態でセールスをします。そうすることで、お客さんには「この人に商品を“売られている”のではなく、“一緒に”選んでもらっている」と感じ、より親近感を持ってもらえるのです。これも「We」という思いがもたらす心理効果といえるでしょう。もし、半沢がバンカーじゃなく、○○電気の販売員だったら……と考えたら、間違いなく売り場のNo.1販売員になっていたかもしれません!

 みなさんも同僚や部下が仕事の決断に直面しているとき、交渉相手に厳しい選択を求めて説得しなければいけないとき、意識して「我々」という言葉を使ってみてください。そのひと言で仕事や人間関係が驚くほどうまくいくケースは少なくないでしょう。

 さらに、あなたを「信頼できる人」にする効果も絶大です。

 ドラマ『半沢直樹』には、こうした言葉のテクニックもふんだんに隠されています。普段ドラマを見ない私がここまでハマっている理由には、こうしたメンタリズムテクニックが垣間見れるところにもあるのかもしれません。

 さて――。

 尋問のオネエ黒崎VS説得の半沢。どうやらこの「交渉力」対決は半沢のほうに軍配が上がりそうですね。とはいえ、ドラマのほうの対決からはまだまだ目が離せない状態です。そしてメンタリスト的にも目が離せないこのドラマ。次回も半沢ヒットの秘密を紐解いていきましょう。

次回は9月9日更新予定です。