また、こうしたルールをきちんと守っているかどうかをチェックするために、親子ローン契約は中国の子会社を管轄する外貨管理局に届け出て、親子ローン債権について外債登記と呼ばれる登記手続きを行う必要があります。これを守らないと、返済のための外貨送金ができないという問題に直面します。
このような仕組みで、中国の子会社(ここでは100%子会社かどうかは無関係です)に対して投注差一杯の親子ローンを実施している日本企業がたくさんあります。しかし、ここでも中国の子会社が今後数年にわたってチャイナリスクに直面する局面では、親子ローン債権が毀損する可能性を排除、または低下させるため、できるだけ親子ローン債権を減らす努力をしたほうがよいでしょう。
したがって、中国の子会社に余剰資金があるならば、すぐに親子ローンの返済にあてるべきですし、余剰資金がなければ余剰資産を売却して財源を作り、返済にあてることを検討しましょう。もっとも、外貨管理局に届け出た親子ローン契約に期前弁済条項、すなわち返済期限が到来する前に行う前倒し返済を認める条項を入れ忘れると、期前弁済をすることができないという外貨管理法上の規制に直面します。あわてて余剰資産を換金したのはいいけれど、期前弁済を拒否された、という悲劇に直面しないための配慮が必要です。
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