本日は少し変わったアプローチから、部下育成の方法論をお伝えできればと思っております。その秘訣は、「待つ」ということ。少し離れたところから、つかず離れずの距離で見守り、ポイントポイントで助言する。事例とともに、そのコツをお伝えいたします。

「自分は左遷されたんだ……」
やる気を失った部下とどう向き合うか

 私がはじめてリーダーとなったのは広島県の三原営業所です。そこにOくんという部下がいました。彼は私が工場勤務をしていたころの後輩で、はじめから私を慕ってくれていました。

 ただ、彼自身はもっと都会の営業所から三原に異動してきたという経緯もあって「自分は左遷されたんだ」と仕事に対するやる気を失っていたのです。

 私はリーダーとして、そんな彼にどんな接し方をしようか本当に悩みました。もともと人間関係ができているものですから、「もっとしっかりやれよ!」と厳しく言うこともできますし、同行営業をして優しくフォローすることもできます。

 しかし私には、どのアプローチがベストなのか、なかなか判断できませんでした。そこで私がとったのは「待つ」という選択でした。