自分の夢や志を実現するには「いつか起業を!」ではなく「いまから起業準備を!」のスイッチを入れることが肝心。上場準備コンサルタント・監査役として1990年よりユニクロの経営に関わり、アスクル、UBICなど多くの成長企業の躍進を支えてきた安本氏が、起業の心得、ビジネスの種の見つけ方、ビジネスプランと資金繰り、チームワーク力の高め方、上場準備のポイントまでを明かします。いまの会社に疑問がある人、起業を考えている人必見!
起業とは何か、本物の起業家とは何か
起業には相当な努力と覚悟が必要です。中途半端では確実に失敗します。しかし、起業してある程度の成果が上がり始めると、何ものにも代えがたい喜びを感じるようになります。1つ1つの方策の手応えが肌感覚でわかります。そうなったらいよいよ開花、高い志と目標に向かって突き進むのみです!
この連載ではまず、起業の意味と、本物の起業家とは何かについて考えるところから始めましょう。
「起業」とは文字通り「事業を起こす」ことです。さらにもう一歩進んで、その本質的な意味を探ってみます。
1. 新たな顧客を見つけ、その顧客に新しい価値を提供するために新たに事業を起こすこと。
2. 事業は社会で認められなければ継続できない。よって、社会に役立つものでなければならない。そのような事業を新たに起こすこと。
3. 自分の夢、希望や思いを実現すること。
4. 自分自身と他の人の仕事・労働を新たにつくり出すこと。
5. 事業を通して、自分の思いや夢について次の世代にバトンを手渡す。そのような事業を起こすこと。
次に、「本物の起業家」とはどのような人を指すのでしょうか。起業で成功を収めるためにも、その定義を考えてみましょう。
厳密に定義するのは難しいですが、起業することは「無から有をつくり出すこと」なので、起業家には相当な勇気と度胸が必要になります。失敗すれば一文無しになるリスクを常に抱えているからです。
『イソップ物語』にありましたが、「安全な距離を置いて勇敢なのは、たやすい」です。安全な距離ではなく、リスクを取って敵地や新天地に踏み込み、自らが全責任を負いながら前進していく。内心、不安だらけですが、試行錯誤を繰り返しながら日々の実務を行うのが起業家です。