毎日の日課:毎日繰り返す日課の多くは、PQ脳の筋力増強に利用できる。歯を磨くとき、最低10秒以上、ブラシで歯をこする感覚に注意を集中してみよう。例えばブラシが歯と歯茎にあたる感覚を真剣に感じとる、歯磨き粉の匂いをかぐ、口内に広がる歯磨き粉の泡を感じるなどだ。これらの感覚に順番に意識を集中していき、頭の中に何らかの想念が浮かんだらそのたびに払いのける。このようにして、歯磨きの間に数回の反復運動を行うことができる。

 シャワーを浴びるときに1分間、あれこれ考え事をするのをやめ、特定の身体的感覚に注意を集中してもいい。例えば肌に水滴があたる感覚、シャワーのお湯が床を叩く音、あるいはせっけんの泡の微妙な感触に意識を集中させる。1回に一種類ずつの感覚に集中すること。視覚に神経を集中しようとするのでない限り、目を閉じると気が散るのを防げて効果的だ。

食事:PQ脳のエクササイズをすると、食べる喜びも大幅に高められる。食事のあいだ、1分以上、食べることにしっかり意識を集中してみよう。食べ物を口に運んだら、できれば目を閉じ、食べ物の歯ざわりや香りを味わいながらかんでみよう。数回のPQ運動で、食の喜びが高められることに気づくはずだ。

 根気よく続ければ、食事中のPQ運動はどんなダイエットより効果がある。食べ方がゆっくりになり、少ない量でも食べる楽しみや満足感を味わえる。肥満の問題の多くは、本当の空腹ではなく、心理的な空腹を満たすために上の空で食べるところに原因がある。PQ脳を活性化し、妨害者を黙らせると、そうした心理的な空腹感は大幅に減らせるのだ。

スポーツ:スポーツをやるときは、足に体重がかかる感覚、顔にあたる風、クラブやラケットの手触り、足がボールにあたる感覚などを、神経を集中させて感じ取ってみよう。ボールが回転するようすや、インパクトの瞬間にも注意しよう。上の空で考え事をしそうになったら追い払い、PQ脳が活性化するときに起こる身体の英知に深く沈潜してみよう。スポーツ選手の言う「ゾーンに入る」とは、このような状態をいう。何の苦もなく、流れるように体が動いてしまう状態である。

 スポーツ選手がピンチの場面で失敗してしまうのはなぜなのか。バスケットボールの選手が、土壇場で勝利のかかったツーポインターを、簡単なシュートであるにもかかわらず失敗するのはなぜなのか。そのシュートと、練習で何百回と繰り返したシュートとの唯一の違いは、そこに選手を惑わせる裁判官の声があることなのだ。PQ脳の活性化によってその声を抑え、ゴールとボールに完全に集中できたら、選手のパフォーマンスはどうなるだろうか。あなた自身で実践してみてほしい。プレーが大きく改善されることに気づくはずだ。

次回の更新は10月17日です。


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