上司が役員になって一層暴君化
追い出し部屋で心が壊れた課長は今

 今回は、連載第2回「心が壊れた課長を追い込む“リストラ面談”全記録」で紹介した男性・A氏に再度話を聞いた。A氏は50代半ば。40歳の頃、一流の外資系金融機関から中途採用試験を経て、今の会社に入社した。会社はメーカーで東証1部上場。正社員数は約1500人、パートなどを含めると3500人ほどだ。

 A氏は正社員で管理職待遇(課長級)だが、4~5年前から所属部署(管理部門)の上司(部長、現在は役員)と仕事の進め方などを巡り、意見がぶつかることがあった。

 数年前、職場の上司からある仕事を命じられる。「研修」という名目で、20代の新入社員などが行う単純な仕事を与えられた。躊躇していると、上司と人事部から「業務命令違反」と言われた。人事部からは、「所属部署を離れ、人事部付となるように」と命令を受ける。

 その後、上司である部長は役員になる。人事部を通じ、Aさんに対して一層の追い出しを迫るようになってきた。「人事部付」となったAさんは今、正社員がやるべき仕事を与えられていない。アルバイトと同じように、ブラック企業の「追い出し部屋」で単純作業をする日々だ。


取材に応じてくれたA氏(都内・新橋にて)

筆者 単純作業の中身は、どのようなものですか。

A氏 会社から送るダイレクトメールの送付先を、入力をするだけの仕事。このデータは、実際には仕事で使われることがない。

 私は半年ほど前に労働組合・東京ユニオンに入り、「仕事を取り上げ、何もさせないことは不当だ」と訴えた。それで人事部は止むを得ず、単純作業の仕事を与えた。私を辞めさせようとする考えには、変わりはないのだと思う。