「有識者は自分の宣伝に来たのか」
傍聴した遺族たちのやり場のない怒り

 検証委の室﨑益輝委員長は会合後の記者会見で、「議論は大川小と関係なかった。今後の検証にどういう意味があるのか」と問われ、「一般論も検証報告にはとても重要な意味がある」「提言を書く場合には参考になる貴重な意見をいただいたと考えている」と答えた。しかし、50分間もの間校庭に留まり続けた当日の原因については、「十分なアドバイスはいただけなかった」とも回答した。

 大川小の問題の意見や議論がほとんどなく、一般論に終始したこの有識者ヒアリングを傍聴した遺族たちの動揺は大きかった。「有識者は自分たちの実績を宣伝しに来たのか」などと、やり場のない怒りを口々に伝えてきた。

「子どもたちが逃げたがっていた事実が有識者に伝わっていない」と、遺族の佐藤かつらさんが検証委事務局の社会安全研究所首藤由紀所長に不満をぶつける一幕も
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 6年生の次女みずほさんを亡くした母親の佐藤かつらさんは、「ひどすぎるね。とんでもない。大川小学校のことなんて置いて行かれている」「事実確認が十分に出来ていない段階で、事実ではないことが事実かのように(有識者には)認識されている。これでは提言でも何でもない」と、呆然とした様子で立ち尽くした。

 通りかかった検証委の事務局を務める株式会社社会安全研究所の首藤由紀所長に向かって、佐藤かつらさんが、「子どもたちが、津波が来るとは思っていなかったのか? という伊藤さんの話があったけれども、子どもたちは(『山に逃げよう』という)意見を言っていたという事実があって……」と、不満をぶつける一幕もあった。首藤所長は、「伊藤和明先生にはそこのところやはり、あの、きちんと押さえるべきだったと……」と口ごもりながら、その場を離れていった。

 検証委を指導・監視する立場にある、文部科学省の子ども安全対策支援室の滝波泰室長補佐は、有識者ヒアリングについて、

「大局的な意見をいただいたと思っている」「避難行動を、調査に関わっていない外部の人が確認していくことは難しい。そういう細かい部分を助言いただくための公聴会ではなかったと思う。分析の視点とか、提言に向けた考え方とか、広めの意見をいただくというのが主旨だったので、その点では有意義な会だったと思う」

 と答え、特に大きな問題はなかったという認識を示した。