国の都合で法律を変えたら、
総人口の10%が餓死することに!
彼らは大規模な集会、新聞広告で穀物法の危険性を訴え、労働者からも支持を得ました。しかし、地主の利益代表である保守党政権は、穀物法撤廃には頑として応じません。
イギリスに併合されていた隣国のアイルランドでは、イギリス人地主が土地を独占し、アイルランド人の小作人が極貧生活を強いられていました。穀物法のせいで、外国の安くておいしい穀物が入ってこなくなったからです。パンを買うゆとりさえなく、ジャガイモが彼らの主食でした。
1840年代に、ジャガイモの伝染病がアイルランドを襲います。パンは買えず、ジャガイモは全滅し、アイルランド人の10%が餓死に追いやられます。これをジャガイモ飢饉といいます。
生き残った人々の半分が、経済難民としてアメリカ合衆国へ渡りました。このとき渡米した難民の子孫が、ニューヨークのアイルランド人街を作ります。かのジョン・F・ケネディ大統領の曾祖父もこのときのアイルランド移民でした。アイルランドの惨状を見て、頑迷な保守党政権もついに政策を転換します。ピール内閣が穀物法廃止を決定したのです。
穀物輸入は自由化されましたが、イギリスの農業は地主が恐れたほどの打撃は受けませんでした。なぜでしょうか。