TPPによる貿易自由化には、「日本の農業が打撃を受ける」という反対意見があります。しかし、輸出大国である日本にとって、TPPは避けては通れない問題です。実は、180年前のイギリスでも、こうした板ばさみ状態が起きていました。当時、イギリスで何が起こったのでしょうか?
世界史というレンズを通せば、
経済のことがもっとわかる!
本連載は、「世界史というレンズを通して、経済をより深く理解する」というアプローチをとっています。
経済(お金)に関する事柄は、ある日突然生まれたものではなく、歴史的な必然性を持って生まれます。ゆえに、その必然性を知ることができれば、経済をさらに理解することができるわけです。本連載では、「増税、TPP、円高、デフレ、バブル、国債、恐慌」といったトピックスを扱っていきますが、第1回目の本日は、TPPです。
TPPによる貿易自由化には、「日本の農業が打撃を受ける」という反対意見があります。輸出だけ自由貿易にして、輸入は保護貿易にできればいいのですが、そういうわけにはいきません。貿易というのは相手国があるからです。こちらが関税を引き上げて輸入を制限すれば、相手国も関税を引き上げて輸入を制限します。
輸出を自由化したいのなら、輸入も自由化しなければなりません。しかし、輸入自由化は国内の弱い産業に打撃を与えるので、国内で深刻な対立を引き起こすのです。19世紀のイギリスでも同じことが起こっていました。