国ではなく「銀行」が、
お金を管理するようになった理由
続いて、「通貨発行権」を握る中央銀行が出現します。日本では、この権利を持っているのは日本銀行であり、政府ではありません。
「発行者の信用」という意味では、政府のほうが望ましいような気もします。どうして、政府が直接発行しないのでしょうか。歴史的な経緯を見ていきましょう。
中世の王たちは、戦争などの出費があれば、大商人から高利で融資を受け、踏み倒すこともしばしばでした。絶対主義の時代、国王が中央集権化を進め、通貨発行権も手中に収めます。
最初に紙幣を発行したのはスウェーデン王国のカール10世で、民間のストックホルム銀行に紙幣を発行させました。しかし戦費を紙幣増刷で賄おうとしたため、インフレが発生し、ストックホルム銀行は数年で倒産。その反省から、スウェーデン議会は新たにリスク銀行を設立し、国王の恣意的な支配から独立した中央銀行を作ります。