はらわたが煮え繰り返る思いが伝わってくるような、イオンの岡田元也社長の怒りの会見だった。

 10月5日、ドラッグストア・調剤薬局業界6位のCFSコーポレーションが、筆頭株主で「イコールパートナーシップ」と呼ぶ提携関係にあるイオンを無視し、業界11位のアインファーマシーズとの経営統合を発表したことへの反対表明の会見だ。

 「今期前半にCFSと話し、今は業績回復を最優先すべきだから、アインには断った」(イオン)はずだったが、CFSは密かに話を進めていたのだ。イコールパートナーシップでは、他社との提携や資本政策に関しては、双方が事前に協議し合意のうえで行なうと明記されているが、それをCFSは反故にしたとイオンは主張する。

 イオンは1ヵ月をメドに代替案を提示し、11月下旬に開催予定のCFSの臨時株主総会で諮り、今回の統合を阻止したい考えだ。

 振り返ればこの5年間、イオンはCFSの裏切りに振り回されてきた。2003年2月、伊藤忠商事出身で、小売業の素人である米田幸正氏の社長起用のときもそうだった。イオンは異議を唱えたが、石田健二・CFS社長は米田氏を「息子(現副社長)を社長にするまでのリリーフに適任と判断」(関係者)。その約1年半後には、一方的にイオンとの資本業務提携の破棄を表明した。

 しかし、ドラッグストア各社が緩やかな連携をする「イオンウェルシアストアーズ」というグループの構築を進めるイオンにとって、神奈川県の一等地に多くの店舗を持つCFSは不可欠な存在。交渉のすえ、2006年1月にイコールパートナーシップの名目でCFSとの提携を継続することになった。

 今回の経営統合発表の席上、石田社長は「イオンにはご理解いただけるように誠心誠意ご説明する」と語ったが、一連の経緯からしてイオンが理解を示すはずはない。