ドイツ4大電力会社の利益率減少は
再エネとコージェネ優遇政策の副作用

 1/11論考では、ドイツの電気事業で最近起こっている事象にも言及されている。それらを踏まえて、いわゆる4大電力による寡占は今後も続くとしても、今後は自由化の成果が現れていくと予想、あるいは希望していると私は受け止めた。1/11論考は、「4大電力の寡占が続いても、その影響で電気料金が上昇するかは、まだ見えていない」と慎重な書き方をしているが、私は行間に前出のような希望があると解している。

 ドイツで起こっている事象とは次の3つだ。

①託送料金が適正化したことにより消費者の電力購入先の変更率が上昇(「総括原価方式」から「総収入規制方式」への変更は直接関係ない)
②再エネ優先接続のため火力発電の優先順位が劣後するようになり、4大電力の利益率が減少
③政府が脱原発を決定したことで4大電力は国内事業の大規模なリストラを推進

 ①はさておき、②と③は電力自由化の文脈で語るべきこととは思えない。私には、もっと重大な意味合いを持つ事象のように思える。

 先ず②についてであるが、ドイツでは、再エネに加えてコージェネにも政策補助が行われ、優先的な買取が行われている。即ち、市場に出てくる電気の何割かは補助金漬けの電気で、それが年々増えている。その分、火力など既存発電所の市場が食われてしまい、4大電力の利益率は減少している。これは少なくとも自由化の成果とは呼べない。

 しかも、市場を食われた火力発電は市場から退出すればよいかと言うと、そうはいかない。再エネは出力が不安定であるから、バックアップのための火力発電は残さなければならないからだ。その結果、再エネを増やすための政策補助を講じた結果として、既存の火力発電も政策補助がないと維持できない、悲劇とも喜劇とも言えるような状況になっているのが、現在のドイツであると私は憂慮している。

 この状況については、国際環境経済研究所による論考「二兎を追った先にある悲劇 ―電力自由化と再生可能エネルギー促進の同時追求をしたドイツー」が参考になる。そういう状況下で消費者の電力購入先の変更率が上昇したとしても、設備を持たない単なる電力ブローカーが出現しているだけではないか。これを自由化の成果と認識することは、私にはできない。

 次に③についてだが、率直に思うことは、脱原発を決めたのは政府であるのに電力会社がリストラでそれに応えなければならないのは何故か、ということだ。

 政府が勝手に脱原発を決めておいて、4大電力にリストラを迫っているとしたら、それは行政として無責任極まりなく、あってはならないことだ。仮にそのような政府の圧力があって、そのために4大電力のリストラが進んだとしたら、これは自由化の成果であるなどと到底認められるものではない。