11月11日、自民党の東日本大震災復興加速化本部は、復興の加速化に向けた3回目の提言をまとめ、安倍晋三首相に申し入れた。そのとりまとめ役を担った大島理森本部長に狙いと舞台裏を聞いた。

――自民党の東日本大震災復興加速化本部が打ち出した第3次提言において、東京電力任せから大きく方針転換しました。きっかけはなんだったんでしょうか。

おおしま・ただもり/1946年生まれ。青森県出身。1983年衆議院議員に初当選以降、現在10期目。環境庁長官、農林水産大臣、自民党副総裁などを歴任後、東日本復興加速化本部の本部長などを務める Photo by Kazutoshi Sumitomo

 東日本大震災から2年8ヵ月が経過し、福島県以外の被災地は復興に向けて進み始めています。しかし福島県は違う。そこで、ともかく3年目の正月には、生きる上での希望を作ってもらうことが使命だと考え、その基盤となる“すみか“を建ててもらいたいと思っていました。

 震災発生時、自民党は野党で私は副総裁を務めていましたが、我々には原子力発電を推進してきたことに対する責任があります。当時、与党である民主党から相談がありました。民主党側は仙谷由人さんが担当で、私ども自民党は、現在の経済産業大臣で、当時は政調会長だった茂木敏充さんだったんですが、除染だとか損害賠償、廃炉に至るまであらゆることを相談してきました。

 その過程、我々もコミットして、今の法律などを了解してきたわけです。それ以来、そうした法律の枠組みの中で対応してきましたが、もう一段、加速させる必要があり、それは政治の責任だと考えたのです。

 たびたび被災地に入り、地元町村長の皆さん、被災して仮設住宅に入っている皆さん、そして地元の国会議員に至るまで、多くの方々の意見をお伺いしてきました。そしてなによりこの問題は、日本のエネルギー政策という観点から国民全体に影響があるわけです。ですから、総合的に国として与党としてどうするか示す必要があると思いました。

 そして、東京オリンピック招致の際に、汚染水の問題ですが、安倍晋三総理が「アンダーコントロール」と言われた。これは、世界的にみれは、あるいは国民から見てもやはり「国が前面に出る」というメッセージでもあったわけです。