しかし退職に際して、

「このままノンビリ仕事をしている自分に耐えられなくなったので転職します」

 と、この会社が“ぬるま湯”だと揶揄したような挨拶をしてしまい、大変なヒンシュクを買いました。これには「もう、顔も見たくない」と怒りの声をあげる社員もいました。

 ちなみにKさんは、営業部で高い業績を上げていた社員。ただ、社内の体制に対しては批判的で、

・商品開発のスピードが遅い
・やる気の低い営業がたくさんいる

 と、「このままでは業界に取り残されてしまう」と経営に対して、強気にもの申すほど攻撃的な姿勢を取っていたため、社内では賛否両論のある存在でした。ただ、そんな批判も「会社に対する愛情の裏返しだよ」と経営陣は寛容な姿勢。ただ、Kさんはそうした現状に我慢できず、転職活動をして会社を去ってしまいました。送別会でも、

「新しい職場でも1番になって、製薬業界を変えるつもりで頑張る」

 と熱い決意を語っていました。

 そんなKさんに対して上司は、「いつでも戻ってきなさい」と出戻りを許すような送別の言葉を送りました。それだけ高い評価を受けていたため、退職を引き留められたのは事実です。ただ、これまで出戻った社員はこの会社に1人もいませんでした。ですから、あくまでもこの上司の言葉は社交辞令に過ぎないと誰もが思っていました。そうした事情もあって、周囲はKさんの出戻り情報に驚きを隠せなかったのです。

強気な彼は一体どこへ?
謙虚過ぎる態度に驚く同僚たち

 さて、Kさんが出戻ってくる日を迎えました。当然のことながら、「(Kさんは)新しい職場で通用しなかったのか?」という憶測も流れました。ただ、本当のことはわかりません。まずは、朝礼で新たに入社した社員として挨拶の機会が準備されています。そこでの第一声に誰もが注目していました。そうしたなかでの挨拶は、意外な程に謙虚で共感できるものでした。