思いやりに溢れるスタッフの
お陰でビジネスも軌道に乗った

 そこでは、たとえば久保氏が自分が感動した美しい物語や実話などを紹介し、それをスタッフが朗読するという取り組みが行なわれています。人間愛に溢れた物語に触れることで、社員の優しい感受性がだんだん育まれて行くそうです。

 このようにして培われた利他の精神は、実際のビジネスの職場でも貫かれています。バグジーの店舗は「お客様をスタッフ全員でもてなす」という理念で運営されているのです。

 では、人間力を身につけたスタッフの現場は、具体的にどういう雰囲気なのでしょうか?

 象徴的なのは、「手が空けば上司であっても部下の仕事に積極的にサポートに入る」という光景が、バグジーの店舗では当たり前になっていること。通常、美容業界は上下関係が厳しく、先輩と後輩の仕事は明確に分けられているものです。しかし、お客様の視点に立てば、手が空いている人がムダなくサポートに入ってくれたほうが美容にかかる時間も短くなるため、そのほうがずっと嬉しい。これは、お客様に対する何よりの心遣いでしょう。

 こうした協力を通じて、上司は部下を思いやる気持ちが、部下は上司に感謝する気持ちが現場で育まれて行くのです。

 バグジーのこのような取り組みを挙げ始めたら、キリがないほどです。

 利他の体感を通じて感謝の気持ちが育まれ、優しい人になって行く。職場のスタッフにもお客様にも優しい気持ちで接することができる人になる。そういう人は、人から好かれる。人から好かれる人には、お客様もついてくるし、周りのスタッフもついてくる――。そういった好循環が出来上がっているのです。

 信念を持って人間力向上に愚直に取り組んで来たバグジーの職場は、どの店舗を訪れてもことごとく雰囲気が明るく、スタッフの目が輝いています。そして、職場全員が協力し合い、後輩の育成にも熱心なのが印象的です。

 そこには、かつての不機嫌な職場の面影など、微塵もありません。

(株式会社 道(タオ)代表取締役 河合太介)