脳の法則5:脳は常に新しい知識と情報を求める

 体の他の部分と同様、われわれの脳は健康維持のために運動することが必要だ。既存の知識を補強し、新しい情報を加えることによって脳は強化され緻密になる。コンディションが整ったアスリートのように、脳を鍛えれば鍛えるほど難易度の高い頭脳労働を簡単にこなせるようになる。さらに、脳に蓄積された知識と情報が増えるほど、新しい情報を学ぶのが簡単になる。

 関連性のある新しい情報がインプットされると、知力を最大限に働かせて仕事をする。脳が刺激のない状態に放置されると、不活発で知能が研ぎ澄まされていない状態になる。新しい情報を加えることによって神経細胞の樹状突起が成長して脳を豊かにする。

 一般に年を取ると新しいことを学べなくなると考えられているが、そのような研究結果は出ていない。実は、生涯を通じた継続学習が脳の健康維持に最適な方法の一つなのだ。高齢になっても脳が活発で成長していれば、活力を徐々に奪うような脳疾患にかかる可能性が大きく低下するだろう。まさに、「使わなければ失うことになる」というのは本当だ。

 また、既存の知識基盤とは全く異なることについて学ぶのは、創造性を刺激するための強力な方法だ。例えば、あなたが財務の専門家であれば、会社のマーケティング的側面について学ぶことによって財務スキルが高まるだろう。視野が広がり、財務に関連したマーケティングの課題を研究するために脳に送り込まれる分析用データが増える。筆者たちはこれを「新しいつながりを作る」と呼んでいる。つまり、異なる情報の断片を組み合わせて新しい関連を見出すことを意味する。あなたがどのような職業に就いていても、学校教育を修了した時にようやく本当の学習が始まることを認識する必要がある。