連結決算導入が
遅れていた日本

先生 実はね、日本の商法は明治時代に法律が定められて以来、単独決算主義が原則だった。1990年代までは株主総会でも単独決算書が議決・承認され、株式に対する配当がなされてきた。
ところが、証券取引の発達した海外とりわけアメリカでは、戦後間もない頃から、上場会社の株の評価は会社の総合力を正しく示す「連結決算」を使うのが常識になっていた。

経太 そうすると、外国人投資家が日本の会社の株を買うときに困ることになりますね。

先生 そうさ、1996、7年頃、外国人投資家が連結決算で評価して日本株をたくさん購入する事態がおこって、そこではじめて連結決算を認めようということになった。
商法も2002年の改正に見られるように、ようやく世界の実態に合わせて連結決算の方向に歩み寄りつつある。

有価 世界から遅れていた、ということになりますね。
それで連結決算をするときの方法として、どんなことに気をつけなければならないのですか。

先生 こまかいことは、別に記すとして、3つの原則を知っておくとよいじゃろう。

1.基本的に親会社と子会社、連結グループ全体を足し合わせて一括した決算書をつくる
2.その際、ダブルカウントがおこらないように、重複部分を取り除く

・グループ内の売上げと仕入れの相殺
・グループ内の債権債務の相殺
3.未実現利益(グループ内取引にとどまり、外部に売上げの立っていないものなど)は消去する