日米関係の信頼性が損なわれる危険も
東アジアの安定に向けた高次元の議論を

 日米関係の信頼性が失われていくことも、大きな危険である。安倍首相の靖国神社参拝に対して米国政府が公然と「失望した」と述べたのは、同盟関係からすれば異様なことである。

 ケリー国務長官やオバマ大統領が、あえて日韓関係や日中関係の改善を希望する、場合によっては米国が仲介するというのも、日本外交に対する信頼性が損なわれているからではないのだろうか。中国や北朝鮮の今後は、極めて不透明である。安定した強い日米同盟関係がなければ、日本は安泰ではない。

 歴史問題で中国や韓国に日本批判の口実を与え、結果的に国際社会における日本の地位の低下をきたすようなことは、今後慎むべきではないか。その上で日本の政府には、「東アジアの平和と安定のために何をするか」という国を超えた、より高い次元の議論をしてもらいたいと思う。

 これは尖閣問題や竹島問題で、日本の立場を変えることを意味するものではない。立場が相容れない問題は問題として、共通の利益が見出せる分野でウイン・ウインの関係をつくる作業を始めるということである。

 重要なことは、失われた20年を経て蓄積され、強いナショナリズムや反中・反韓にもつながっている国民のフラストレーションを、新しい考え方に吸収していくことである。リアリズムに則って、これからの日本の繁栄のために具体的戦略を示していくことである。

 少子高齢化により人口が減少していく日本が、日本に閉じこもっているわけにはいかず、世界の需要を活用していくことが求められている。このためには、まず東アジア地域の将来図を描き、目的実現のための具体的戦略を示すことである。それこそが、日本の外交に求められているのだろう。