
世界は大戦後、最大の危機
なお続く日本の政治空白
石破茂首相が退陣を表明したのを受けて、自民党の総裁選が下旬に告示され、10月4日の投票日までは日本の政治はまた空白期間が続くことになる。
新総裁が決まっても、衆参両院で自民、公明の少数与党体制が続くなかで、新たな連立の模索や野党との連携を巡って与野党が綱引きを続けるのだろう。
参議院選挙で争点となった給付金か、消費税減税かの物価高対策や、政治とカネをめぐる企業献金の廃止や規制強化の問題、さらには補正予算、来年度の予算編成などでも難航が予想される。
こうした内政の問題は軽視されるべきではない。だが外に目を向ければ、世界は第2次大戦後80年で最大の地政学的危機を迎えている。
民主主義の理念や自由貿易などによる既存の国際秩序を望まない新興国の台頭が急である一方、強大な軍事力を含め、いまだ圧倒的な国力を持つ米国自身が秩序を守る役割を放棄し自己利益を追求しようとするあまり、危機を深めている。
国連は機能せず、秩序を導く灯台の役割を果たしてきたG7も、米国のアメリカ第一路線とポピュリズムのすさまじい台頭により弱体化した。
戦後の日本の発展の礎となった体制は揺らぎ、一方で東アジアの安全保障環境の悪化は地政学的危機のさなかにあるリアルを感じさせるものだ。
日本の新しい政治指導者、新政権は国際環境激変のなかで国益を守れるのだろうか。