米マイクロソフトの新しいオペレーティングシステム(OS)、ウィンドウズ7(セブン)の販売が始まった。異例の早さでセブンを市場投入した背景には、これまで1社独占だったOS市場の環境変化がある。米アップルの追撃、最大のライバルである米グーグルのOS参入によって、マイクロソフトはかつてない戦略大転換を迫られているのだ。特に、「OS無償化時代」の口火を切ると目されるグーグルの「クロームOS」は、早くもユーザーに大歓迎されている。果たして、マイクロソフトは新OS戦争でも勝者となれるのだろうか。(『週刊ダイヤモンド』編集部 前田 剛)
過去の成功モデルを否定する
グーグルOS新規参入の衝撃
この7月、グーグルが来年にも「クロームOS」を投入し、PC向けOS市場に参入すると表明した。
世界トップのPCメーカーである米ヒューレット・パッカード(HP)をはじめ、台湾エイサー、東芝、中国レノボなど世界の名だたるPCベンダーがクロームOSの共同開発に参画することが明らかになると、IT業界は騒然となった。
詳細はベールに包まれているが、クロームOSは同社のウェブブラウザーであるクロームにOS機能を一体化させたもので、オープンソース(プログラムの設計図が公開され、誰でも利用できる)の無償OSと見られている。
マイクロソフトにとって、グーグルのOS参入がかつてない脅威となるのは間違いない。
第一に、OSを高機能化すれば、PCが売れた時代は終わっている。今、爆発的に売れているのはネットブックと呼ばれる5万円前後の低価格ミニノートPCだ。