タス通信は1月、五輪会場周辺の警備に無人飛行機が投入され、万が一の場合に備えて地対空ミサイルも配備されるというロシア軍幹部の談話を紹介している。

 ソチ五輪は当初120億ドル程度で開催される見通しであったが、大会が近付くにつれて予算が雪だるま式に増加。英テレグラフ紙は昨年10月、インフラ関連予算などを含めたソチ五輪の最終的なコストが510億ドルに達したと報じ、「史上最も高額な冬季五輪」と皮肉っている。

 正確な額は公表されていないものの、予算増加の原因の1つに、セキュリティ強化があったことは否めない。

過去に発生した
オリンピックを狙ったテロ

 国際的なスポーツイベントにおけるテロといえば、最近では昨年4月に発生したボストンマラソン爆弾事件が挙げられる。

 ボストンマラソンでも警備は敷かれていたが、ゴール地点近くで観衆に紛れて爆発物の入ったリュックサックを持ち込んだ実行犯を、事前に見つけるのは不可能だったと言っても過言ではない。

 ボストンマラソン以上に厳重な警備が敷かれるオリンピックだが、大会期間中に大きなテロ事件が発生したケースは意外に少ない。開催国は国の威信をかけて警備を行うが、それでも全てのテロ行為を防ぐことは困難だ。また世界最大のスポーツイベントであるがゆえに、注目度も高く、1つの事件が普段以上に大きなニュースとして取り上げられてしまう。

 オリンピックの大会期間中に発生したテロ事件で最も有名なものといえば、ミュンヘン五輪で発生した人質事件だろう。

 1972年9月5日、武装したパレスチナゲリラ8名が選手村に侵入。その後イスラエル選手団の宿舎が襲撃され、イスラエル人選手ら9人が人質となった。犯行グループはイスラエル国内に収監されているパレスチナ人の釈放を要求し、その後国外へ脱出するために旅客機が用意された空軍基地に人質を連れて向かったが、基地に配置されていた警官隊と銃撃戦になり、人質全員が死亡している。

 この事件では籠城する犯行グループの姿などがテレビで生中継され、全世界に配信された。事件後、大会の中止を求める声も相次いだが、30時間以上の中断を経て、大会は再開されている。

 1996年のアトランタ大会では、大会期間中にアトランタ市内にあるセンテニアル五輪公園で手製のパイプ爆弾が爆発。2名の死者と111名の負傷者を出し、パニック状態で逃げ回るアトランタ市民の姿が世界中に伝えられ、五輪におけるテロが改めてクローズアップされた。

 容疑者は2003年にノースカロライナ州で逮捕されている。容疑者は保守派キリスト教徒の男性で、同性愛や人工中絶に寛容的だとしてオリンピック前から米政府を批判しており、五輪を中止に追い込む目的で爆発物を仕掛けたことが判明している。