上司1人に任せるには限界が
組織ぐるみのシニア雇用・活用体制の構築を

 以上の観点を踏まえると、役定-再雇用の流れの中で、組織としてシニアを戦力として有効活用させようとするなら、これを1人の上司任せにするには無理がある。また、単に、再雇用時の働き方の態度や心構えを強調した意識改革講和やセミナーだけでも問題は解決しない。

 シニアの活用は、適職を探すような一時のジョブマッチングではすまないのだ。役定~退職~再雇用は10年近いセカンドキャリアの時間軸を想定し、持続的・断続的な働き方に対応した経営・人事・管理者・本人が同期化された一連の仕組みが必要だろう。図表-1を見てほしい。

“卒業”した元部長が職場に帰ってきたら?<br />再雇用シニアを“普通”に使いこなせない上司の葛藤

 欲しいのは、自社のシニア社員の向こう10年の年齢構成変化を踏まえた65歳までの雇用と戦力化の全体構図だ。新卒採用計画は景況によって人数を変動させられるが、シニアの65歳全員雇用は容易に増減ができない。いわば将来の固定人件費発生を見込むようなものだ。

 経営状態や再雇用仕事の有無によって、雇用の在り方は変動するだろうが、雇用したシニアには最大限の貢献をしてもらわなくてはならない。そのためには、再雇用シニアには人件費に見合う生産性ある働きが求められる。この点で、シニアの活用は大きな経営課題であり、経営・人事が基本方針・人事施策を打ち出し、組織管理者が現実的な役割を与え、シニア本人が自己の活用と貢献努力をする、組織一体となった展開が求められる。

 今回は50代役定シニア者の戦力化とやる気を起こさせる上司とシニアの関係と、組織的にどのような対応が必要かを考えてみた。次回は最終回になるが、これまでの主張を総括しながら、今後のシニア雇用をより価値の高いものにするための提言を行いたい。