一方、公立高校の場合はほぼボランティアで、他に職業を持っていなければやっていけない。また、監督にはグラウンド上の指導だけでは済まない苦労もある。相手はやんちゃな盛りの少年たち。技術以前に挨拶の仕方から生活面の指導、野球をすることの意味などから地道に教えていかなければならない。加えて保護者からの起用法に対する苦情処理もある。モンスターペアレントの対応に苦慮する教師と同様のつらさを味わうこともあるという。

 また、プロOBだからといって指導者に迎えたいという高校もそうはないはずだ。私立の名門にはすでに「高校野球指導のプロ」が居座っているし、公立からお呼びがかかることはまずない。オファーがあるとすれば、これまで野球の実績がなく、これを機に強くしようという私立校がある場合だろう。

 そしてプロOBが指導者になったからといって、その知識や経験がすぐに結果に結びつくケースは少ないはずだ。彼らの知見はトップレベルでのものであって、基本から作り上げるノウハウはないからだ。成果をあげられるとすれば、プロの経歴に頼るのではなく相手に応じたフレキシブルな指導が地道にできる人だろう。しかも信頼できる人間性があってこそだ。

 しかし、見る側にとっては昔プロでプレーした人物が高校野球の指導者としてどんな手腕を見せるかは興味をひく。そんな見どころが今後増えることは確実だし、これまでとはプレーのスタイルや発想がまったく異なる、プロOBによる高校野球チームが出現することを楽しみに待ちたい。